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ダライラマ法王講演@護国寺

◇ダライラマ法王の講演を拝聴できた。1989年にチベットを訪れ1ヶ月ほど滞在したり、ここ数ヶ月ご著書を何冊も読んでいる ファンです。タシデレ。やっとお目にかかれた。声を拝聴し、その場に束の間でも居合わせることができたのは感無量である。◇講演の聴衆者、メインは人の良さそうな中年の方々で若い人も意外に多い。態度が解せない人もいた。左隣の女性たちは講演直前まで会社の内情とかどうでもいいことを声高にまくし立てていて閉口した。右隣の2人の男たちは公演中足を組んでふんぞり返って聞いていていた。それから、お釈迦様が森の動物に説いたように、朴訥な説法風景は願うべくもないが、脅迫情報でもあったかのように あわただしい進行で、日本人の神経症的側面が気になった。(ここまで始めに苦言、以下内容)

・「思いやりと人間関係」 法王は最初、カメラの放列や照明の明るさ(何より広い会場?)にとまどわれていたように感じられたが、一言一言力強く繰り返しメッセージを伝えてくださった。

・私たちの将来はそれぞれの人間性にかかっている。人の心には怒り・妬みといった破壊的な面と、愛と忍耐といった建設的な面をそれぞれ自然に持つが、それぞれが何であるか認識して前者を後者に変える努力が必要である。人間は他の命あるものと違って①それができる知性があるのだから。他を思いやること、(少なくとも問題を起こさず)他を尊敬することにもともと強い力を持つのだから、そうした②「良き資質(good nature)」は苦しみ・困難をなくすだけでなくそれらを自分にも良いように変えるていって、全ての人間が本来的に備わっている「人間価値」を促進して高めよう。

・慈悲(compassion)とは偏見なく全てに平等に見る智慧をともなうものだが、対して執着(attachment)とは身近な人に対してのみで、その他の人には距離をおいてしまう、破壊的で無明なもの。そしてその双方の感情は親近感から湧き上がるもので似ている。全ての宗教は前者の慈悲について語られている。子供のときはその区別がないが、年をとると「役に立つかどうか」という自己中心的・利己的態度を見につけてしまう。慈悲は花が美しく咲くのに必要な水のように、人間が生き延びていく(survive)ために欠くことのできない性質であり、それを高めるには 祈り・真言・瞑想がよい。周りの人たちに愛情を向ければ、愛情を受けた人は平和で心安らかにいられる。逆に周りが敵に見えるような人は、愛情を必要としている、とても可愛そうな状態な人なのである。

・世界の諸問題は執着・堅固によって引き起こされていると思われる。良き資質は、宗教にだけ依らなければならないのではなく、信心していない人も、それを高めようと考えるべき。そして、それは自身にも平和と落ち着き・安らぎを与えてくれるから、(それを目的化してはいけないが)、そうして良い人間関係を育んでいくことが大事。お金(経済的)や政治的な理由で繋がっている人間関係は本来的なものでなく、愛と慈悲が土台なのだ。

・人間関係は相互的なものだから、自分とは別に他人は違った面を見ていることがある。年代により違い、一人の人についてもフレッシュな朝と疲れた夕方では違う。絶対的なものはなくいつでも移ろっている。潜在的な(直ぐに見えない)こともある。その見方の違いは受け入れるべきであって、見方が違うということは感じられ方も違うのだ。自身の考えに固執していると状況は困難になってジレンマを起こすから、視野を広く、心の持ち方に余裕をもって、ワイドな考え方がきるようトレーニングしよう。 

・その後質疑応答 1)学校教育について:知識だけでなく、子供を独りの良き人間と育てるべく他人に対する愛と思いやりを伝えるべき。あまり礼儀作法などの外面的な部分に偏ることなく、内面的に。2)死刑:「嫌いな人を皆失くしても何も残らない」 犯罪に対する怒りで滅してもそれは誤りだと思う。思いやりと温かさと赦しを与えて責任を感じさせ、社会の一員としての余地を残すべき。3)法王は「今、世界的に人間性が失われているのはわかっているので、Movementを高めたい」とも仰っていた。

(参考 講演紹介)人はひとりでは生きていくことはできません。ますます複雑化していく現代社会の中で上手に生きていくためには智慧が必要です。それは、他者への思いやりを持つことによってスムーズな人間関係を築いていくことではないでしょうか。ひとりひとりの人間同士の和をはかることが、家庭、社会国家、そして世界の平和を作り上げる礎となるということを、法王は世界各国で説かれています。つきあいの下手な人や人間関係に悩む人たちにとって、法王の言葉は魔法のようにその解決の鍵を示唆してくれることでしょう。


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