SSブログ

夫婦でネパール③ 読書録 [本のこと]

◇ネパールに行っていたときに読んでいた、ソロー以外の本をご紹介します。仏教の本を持っていたのは、釈尊のいらした地に赴けば、難解なことも多少頭に入り易かったりするかしらんと考えたからです。関空での待ち時間も含めて、特に見るべきテレビやインターネットもありませんでしたので、ホテルのロビーで、ベッドで、観光先のカフェで、山小屋で、日がな読書にふけりました。でも、まる2日あったカトマンズ=ドゥンチェ間のバスの移動は揺れで全く読めませんでした。悪路での振動にじっと耐えるだけでした。そして旅の読書は、期待どおりに今までとちがう感覚で理解できたのかなとは思います。

知恵と慈悲「ブッダ」―仏教の思想〈1〉

知恵と慈悲「ブッダ」―仏教の思想〈1〉

  • 作者: 増谷 文雄, 梅原 猛
  • 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 1996/06 (1968年)。
  • メディア: 文庫 〇日本は明治以来、西洋から仏教学を学んだが、その長い歴史に置いて教祖ゴータマの全貌の前に立ったことがない、という。~それは、古代の部族社会から市民社会への社会の変化(物質的文明)のなかで生まれた。正覚者の孤独。縁起の法。ダンンマパダ・自己品。渇愛・欲望は苦の生起なり。色声香味触の五官の対象について「王たちよ。心に適うをもって欲愛の第一とする」、すなわち中道にたつこと。琴線。善知識(友人)。慈=優れた人間関係の徳目。ヨーロッパ:「不死がなかったら文明はない」(ドストエフスキー)。純潔と愛、というキリストの魅力。教団による「死・復活の思想」の付加。キリスト教の愛とは、イスラエルの民族神エホバへの愛。イエスによる原罪の贖いの思想を信じることが神との関係を回復するものであるとパウロは考えた。その愛の前提には神の怒りがある。戦争侵略の歴史を振り返ると、隣人とは同じユダヤ人だけか。現代の仏教:因果因縁のインチキ性。ショウペンハウエルは理性ではなく(意思否定から得られる)盲目の意思を発見。終末観・進歩史観・マルクスの歴史観によらず、エゴイズムの所産をまぬがれようとする業の歴史的反省が必要。
ブッダのことば―スッタニパータ

ブッダのことば―スッタニパータ

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1958/01 メディア: 文庫 〇脚注が多いし、韻文のようで読みにくいがリズムがある。ブッダの生の声と思うと読みきれる。 ~犀の角(中国では麒麟と訳されたとか)。在家は誠実・真理・堅固・施与(理法にかなった行い 親族の愛護 非難を受けない)をなす。未来の生存に執着しない。笑い・だじゃれを捨てしっかりした態度をとる。この世の地獄を越える。気をつけて欲望を回避して、船のたまり水をくみ出すように捨て去る。快いものに耽溺せず、物惜しみしない、何かを嫌うこともない(欲望をそのままにしておく)。ものぐさ・くよくよせず、高ぶらない。インド思想は内省的で個人的(一人遍歴)であって社会性に希薄。後の経典には、世俗から離れながらも良き友人と交誼することを勧めている。修行者:道において生活する者 道に生きる者 真の道を自覚して生きることを目指す。五戒の前には(嘘 殺す 盗む)の悪徳が三戒だけだったが、後に不婬・禁酒が加えられた。地獄の描写。古いものを喜ばず、新しいものに魅惑されない。
ダライ・ラマの仏教入門―心は死を超えて存続する

ダライ・ラマの仏教入門―心は死を超えて存続する

  • 作者: ダライ・ラマ十四世テンジン・ギャムツォ 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2000/06 メディア: 文庫  〇 意味のある人生、心に平和と調和を保って社会に建設的に貢献するために。同情心。~全てのものは縁起しているから実体性(自性)がない(ただ、単なる存在としては否定されない)。対象が実体として存在していると思い込む「無知(無明)」は、欲望と怒りの両方を助長する「煩悩の根本」となる。物理学者も物事がそれ自体で客観的に存在しているのでなく、それを観察する人との関係の中で存在しているに過ぎないと主張している。記憶とは? 「私」は単なる「人」というものの連続体が基体(=意識)となって潜在力が蓄積される。忍耐の修行は自他を平等にみなす修養を行う支えとなる。瞑想による心の安定を。
  • An Open Heart: Practicing Compassion in Everyday Life

    An Open Heart: Practicing Compassion in Everyday Life

    • 作者: Dalai Lama XIV 出版社/メーカー: Back Bay Books
    • 発売日: 2002/09 メディア: ペーパーバック  〇チベット文化によく触れたからか、ポカラの空港で女房が買いました。インド限定版のようです。じつはまだ読みかけ中なのでうが、平易な英語で読みやすいので、最近寝る前に朗読しあっています。 

 ◇ネパールについて、今回は旅行前後にこれだけ読みました。ガイドブックは地球の歩き方のほかロンリーブラネットを持っていきましたが、これはけっこう有用情報が多くていいです。日本についてのも読んでみたいな。

ネパールを知るための60章

ネパールを知るための60章

  • 作者:  出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2000/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) △内容は固いがよくまとまっている。 ~・市民による国際交流・協力が盛んだが交流と開発協力はやはり違って、後者には双方の責任を明らかにする契約と専門的な開発マネージメントが必要。・スラムに住む無権利居住者だが、そこにおいてだけは地縁・血縁のしがらみが強く、差別される暮らしや保守的な生活から逃れ野心的に生きられる面がある。・ネパール人の多くは悪霊によって病気が引き起こされると信じているため、ダミ・ジャンクリ(呪術医)がククリ(ネパール刀)で悪霊を切ることで治療を行い、その授受ついに医療の研修活動して広く行き渡らせようとしている。・養蜂は世界的に有名で製品品質の向上により発展していて伝統本来の勢いがある。・薬草の宝庫であるが大量採取の問題が出てきた。・ティルタ(聖地)で死者の霊を供養・贖罪すれば霊はうまく転生するといわれている。
ネパールに行ってみた!―Asian deep walking

ネパールに行ってみた!―Asian deep walking

  • 作者: 堀田 あきお, 堀田 かよ 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2003/02 メディア: 単行本 〇マンガ自体は?なんですが、帰ってきて読み返すと、意外にあちらの混沌としているがどこかせつない雰囲気がよく表現されていると思います。

◇以下、ネパールから帰ってきてしばらく養生していましたからざざっと読み勧めました。ブッダ自身は霊、カルマ・因業についてはっきりと言及していないと思うのですが、後世にまとめられた経典にはそれを前提として解釈されています。

マンガで読む観音経〈1 魂の目篇〉

マンガで読む観音経〈1 魂の目篇〉〈2 霊性の進化篇〉〈3〉魂の救済篇 

  • 作者: 桑田 二郎 出版社/メーカー: 廣済堂出版
  • 発売日: 1989/11 メディア: 文庫 ◎同じくマンガですが、これは面白いです。作者によると観音力とは、瞑想で感じる力です。(4)が入手困難で読めていないのですが。~瞑想によって、理知(自分の煩悩と戦う能力)と慈悲(世の中と和する能力)を備えて、低我の感情(煩悩)を離れて、「魂」の目覚め、「真我」の精神の向上から、「いのち」の霊的進化を遂げようとするものです。観音様観音様!とただ唱えるのではなく瞑想せよ、ということなのです。目からうろこ。内容も濃くて読み応えあります。
観音経の風景~観音経・菩提心をもとめて~

観音経の風景~観音経・菩提心をもとめて~

  • 出版社/メーカー: 日本クラウン 発売日: 1995/08/21
  • メディア: ビデオ  × 各宗派の偉いお坊さんが方が出ていらっしゃいます。上を読んだのでなにか参考になるかと思ったのですが、????。やたらにお経を暗記していたり、周辺知識は詳しいのですが、肝心のお経の解釈は、気分をわかろうとするだけで、きわめて簡単に一心に唱えること(一心声明)のあらたかなご利益を強調するだけです。最後は荘厳な読経風景。いわゆる念仏宗教ですな。物足りません。
  • 前世療法―米国精神科医が体験した輪廻転生の神秘

    前世療法―米国精神科医が体験した輪廻転生の神秘

    • 作者: ブライアン・L. ワイス 出版社/メーカー: PHP研究所
    • 発売日: 1996/09 メディア: 文庫 △古典 ~キャサリンの治療を通してさまざまなメッセージが。:忍耐とタイミングが大事。あせらず、時々にやってくるものを受け入れる。物質的・非物質的な2つの世界はつながっていてエネルギーがある。恐怖があるとエネルギーを浪費してしまい使命の達成を妨げる。 
◇今日はウォーミングアップに高麗山に行き、下山後、図書館で続きを読みました。
 
神秘学から見た宗教―祈りと瞑想

神秘学から見た宗教―祈りと瞑想

  • 作者: 高橋 巌 出版社/メーカー: 風濤社
  • 発売日: 2001/04 メディア: 単行本 〇 縁起説と因果論 神とロゴス シュタイナー。わかっているようでよく抑えておかなければいけないことだと思います。顕教と密教とも言うべきでしょうか。~ 宗教の本質は「祈り」で、神秘学の本質は「瞑想」。祈りの本質は「相手と運命を共にしようという意志」であり、その意志の中に宗教の本質である聖なる何かが存在し、一方、瞑想の本質は自分の内に神聖を見出す行為であるから、「信仰なき認識は空虚であり、神秘学なき宗教は盲目である」ゆえにこの両者は互いに相補していて、どちらも不可欠という。終章でオウム真理教をあげて近年の宗教問題をよく喝破しています。
霊界を科学する―科学と体験からみた霊界の法則

霊界を科学する―科学と体験からみた霊界の法則

  • 作者: 野村 健二, 恵美 初彦 出版社/メーカー: 光言社
  • 発売日: 1996/03 メディア: 単行本(ソフトカバー)▲よく覚えていないが、臨死体験・霊通者・ 神智学などの知識の紹介が豊富にありますが、それでそんなに科学していないような気がしました。

 

カルマの法則―生命転生の秘密 あなたは死後どうなるか

カルマの法則―生命転生の秘密 あなたは死後どうなるか

  • 作者: 五島 勉 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 1991/04 メディア: 文庫 〇そんなに新しいこともないが外していない。
 
カルマを超えるアマラの法則―あなたは死後こうなる

カルマを超えるアマラの法則―あなたは死後こうなる

  • 作者: 五島 勉  出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 1995/08  メディア: 単行本(ソフトカバー) 〇意外に読める。善悪でなく、生命に沿うものかどうか、というのはわかるような気がする。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

nice!の受付は締め切りました

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント